クメール料理とは、カンボジア王国の伝統的な料理で、魚や野菜、ハーブ、発酵食品を多用するのが特徴です。
カンボジアについて
クメール料理の概要

カンボジア料理、通称クメール料理は、豊かな自然環境で育まれた独自の食文化を持ち、紀元前300年頃まで遡れる長い歴史のもとで形成された由緒ある料理です。特に淡水魚を中心とした豊富な生態系を活用し、多様な食材が活用されています。トンレサップ湖やメコン川といった豊かな水源は、カンボジアの食にとって非常に重要です。
まず、クメール料理は、カンボジアの文化と深く結びついた多様な料理から成り立っています。大きく3つのレベルに分類され、貴族階級や王族などの上層社会のために用意されてきた「高級料理」、格式を示す伝統文化の一部である「婚礼料理」、日常的にカンボジアの人々が食べる「一般料理」があります。そこに近隣諸国のタイやベトナム、インド、フランスの食文化が溶け込んでおり、唯一無二の料理を多く生み出しています。
伝統的な料理には、新鮮な野菜やハーブ、発酵食品、魚介類、肉類などが使われ、甘味、酸味、塩味、苦味、辛味の調和が重視されています。また、発酵食品は重要な役割を果たしており、料理の風味を深めるために「プロホック」という魚の発酵ペーストが多くの料理に用いられます。全体的にはハーブやスパイスがふんだんに使われ、香り豊かな味付けがカンボジア料理の特徴的で、隣国タイと比較すると唐辛子の使用は控えめでマイルドな味付けとなっています。
クメール料理の地域性
クメール料理の地域性は主に三つに分けられます。
北部・山岳地帯(ラタナキリなど)
少数民族が多く住む地域で、森の恵みを活かした素朴な料理が特徴です。野生のハーブやキノコ、山菜などをふんだんに使い、肉料理では豚肉や鶏肉のほかに、鹿肉や野鳥の肉などのジビエなども食べられます。
中部(プノンペンなど)
首都であるプノンペンでは国際化が進んでおり国内外の様々な料理が楽しめます。またシェムリアップ周辺は、トンレサップ湖で淡水魚が豊富にとれるため、新鮮な水産物を使った料理が主流です。
南部・沿岸部(シアヌークビルなど)
海に面した地域では、新鮮な魚介類を使った料理が豊富です。カニやエビ、イカなどを使い、ココナッツミルクやスパイスで風味を加えた料理が人気です。
【全25品】クメール料理の一覧
カンボジアで食べられている、クメール料理の一覧です。
北部・山岳地帯
(មីកុឡា)
バッタンバン州発祥の料理。ビルマ風麺として知られる、醤油で香りづけした細目の米麺にニラなどを加え、ピーナッツや漬物などをトッピングした麺料理。
カンボジア沿岸部
(ឆាក្តាមម្រេច)
カニをニンニク、パームシュガー、ネギ、魚醤、カンポットペッパーと一緒に炒めた海鮮料理。カンポットペッパーで有名なカンポットとケップ地方の名物。
カンボジア全土
(ញ៉ាំស្វាយ)
アンバレラ、バナナの花、キュウリ、レンコンなどに青いマンゴーを加えたサラダ。ミントなど4種類のハーブが使われる定番の料理。
(សម្លកកូរ)
カンボジアの国民食の一つと考えられている伝統的なスープ。グリーンクルーンやプラホック、炒り米、ナマズ、豚肉などが使われている。
チュロックトレイ
(ស្ងោរជ្រក់ត្រី)
伝統的な魚を煮込んだスープ。レモングラスやコブミカンの葉など、様々なハーブを入れて作られる。トゥック・トレイの旨味が感じられる一品。
ユオン(សម្លរម្ជូរយួន)
タマリンドやトマト、パイナップルなどが入った酸っぱいスープ。具材として鶏肉や豚肉、魚なども入る具沢山の料理。ベトナムから影響されて生まれた。
(កូរសាច់គោ)
牛肉をクローブやシナモン、スターアニス、ターメリック、コリアンダーなどの香辛料と共に、長時間煮込んで作られる肉料理。
(ឆាសាច់គោ)
牛肉をトゥック・トレイで炒めた肉料理。味がよく染みており、ご飯によく合う一品。カンボジアの牛肉は身が引き締まり脂身が少ないので、ヘルシーで食べやすい一品。
(ផាកឡូវ)
豚の内臓や耳、舌などを八角等のスパイスと、醤油、パームシュガーと一緒に煮込んだ肉料理。生野菜とディップソースを添えて提供される。
(សម្លការី)
鶏肉、サツマイモ、タケノコなどを煮込んだ赤いココナッツ風味のカレー。見た目に反して辛くはなく、米麺やバゲットと合わせて食べられることが多い。
(ឆាខ្ញី)
鶏肉、ウナギ、カエルなどの肉とマッチ棒大に切った大量の生姜を、醤油や黒胡椒、青唐辛子と炒めた料理。
(ដុតត្រប់)
炭火焼きにした茄子を、豚ひき肉と発酵した豆と一緒にオイスターソースで炒め、ネギを添えた料理。ご飯と一緒に提供されることが多い。
(ឆាត្រគួន)
ビタミンやカロチンが豊富に含まれている空心菜を炒めた料理。暑い時や夏バテ対策に効果があり、ご飯にも合う味付け。
(អាម៉ុក)
魚などに野菜とココナッツミルク、スパイスを混ぜ、卵でとじた料理。ハゼ、ライギョ、ナマズなどの川魚が使うのが基本で、カンボジアの国民食の一つとされている。
(ពងទាកូន)
羽化しかけのアヒルの卵を蒸した料理。ナイトマーケットの屋台で入手でき、香草やライム胡椒と共に食べる。
(បាយឆា)
クメール風チャーハンのこと。中国ソーセージや、にんにく、醤油、パクチーなどが入っており、通常は豚肉とともに食べられる米料理。
(បាយសាច់ជ្រូក)
甘辛いタレに漬けて炭火で焼いた豚肉を白飯に乗せた米料理。ゆで卵や漬物、きゅうりのスライス、ピリ辛のタレなどを添えて提供される。朝食として人気の一品。
(បាយសាច់មាន់)
甘辛いタレに漬けて炭火で焼いた鶏肉を白飯に乗せた米料理。漬物とチリソースを添えて食べることが多い。鶏肉は揚げ焼きで調理されることもある。
(គុយទាវ)
カンボジアの代表的な料理の一つで、米で出来た平打ち麺をさっぱりしたスープに入れた麺料理。朝食としてよく食べられる。
(នំបញ្ចុក)
ビーフンにレモングラス、ショウガ、ターメリック、ニンニクで作った魚ベースのグリーンカレーソースをかけた麺料理。人気の朝食メニュー。
(មីកាតាំង)
幅広いライスヌードルを炒めた麺料理。麺の上に炒めた牛肉と野菜をのせ、その上に炒り卵をのせて作られる。
(បាញ់ឆែវ)
ベトナムから伝わり、カンボジアでも人気の食べ物となった、米粉とターメリック、ココナッツミルクを使ったパンケーキ。
(នំបុ័ងប៉ាតេ)
バゲットに「パテ」と呼ばれるランチョンミートやキュウリ、ネギ、ピクルスやなますなどを挟んだサンドイッチ。朝食や軽食として特に人気の一品。
(ប្រហុកខ្ទិះ)
新鮮なココナッツクリーム、パームシュガー、豚ひき肉を混ぜて調理したディップソース。生野菜が添えられ提供される。
(នំអន្សម)
カンボジアの伝統的な料理で、もち米で作った円筒形のケーキ。中にバナナやジャックフルーツ、豚肉を詰めて作られる。プチュムベンや正月などイベントの際に食べられる。
(សង់ខ្យាល្ពៅ)
くりぬいたカボチャの中にココナッツミルクのプリンを入れて蒸しあげた料理。丸ごとカボチャが使用され、レストランではココナッツアイスを添えて提供されることもある。
【全5種】カンボジアの飲料一覧
カンボジアでよく飲まれる飲み物の一覧です。
(ទឹកអំពៅ)
「サトウキビジュース」として知られる、サトウキビの茎を絞って作る甘い天然の飲み物。ビタミンやミネラルが豊富に含まれ、熱中症対策にも効果的。
(ទឹកក្រឡុក)
ドリアン、マンゴー、バナナ、ランブータン、パイナップル、パパイヤなどの果物を砕いた氷、コンデンスミルクと共に混ぜたフルーツスムージー。
(ទឹកតើយ)
パンダンの葉のエキスから作られる濃い緑色のジュース。屋台などで売られていることの多い、定番のドリンク。
(កាហ្វេ)
濃く淹れたコーヒーにたっぷりのコンデンスミルクを流し込む、カンボジアスタイルのコーヒー。飲み干した後にお茶を加え残ったコンデンスミルクと混ぜて飲むのが定番。
(ស្រាបៀរ អង្គរ)
カンボジアで最も広く消費されているビールで、まさに国を代表するお酒。名前はアンコールワットにちなんで名付けられている。
【全33種】代表的なクメール料理の食材一覧
クメール料理によく用いられる食材の一覧です。
甘みのある果肉が特徴の緑黄色野菜で、煮物、スープ、スイーツなどに使われる。食物繊維やビタミンC、Eも含み、栄養価が高い。日本語での名称は「カンボジア」に由来する。
バッタンバンの名産品として知られている、緑の皮と濃い黄色の果実が特徴的な、爽やかな酸味と香りを持つ柑橘類。料理にも使用されるほか、ジュースにして飲まれる。
温暖な地域で栽培されるマメ科の植物。長いさやが特徴で、英語では「Chinese long bean」と呼ばれる。さやがまだ柔らかい状態で、さやごと食べるのが一般的。
竹の若芽で、シャキシャキとした食感が特徴の食材。煮物や炒め物、炊き込みご飯などに使われ、食物繊維が豊富。
甘酸っぱい果肉を持つマメ科の植物。料理や飲料に調味料として広く利用され、酸味のあるペーストはカレーやチャツネ、ソースに使われる。
濃い紫色で先端が尖った見た目をしている。千切りにして他の生野菜と一緒に麺料理に添えたり、サラダや炒め物にして食べられる。
英語では「スネークヘッド」と呼ばれる、スズキ目に分類される淡水魚。ウナギのように細長く、名前のとおりヘビのような頭部を持つのが特徴。
ココナッツの果肉をすりおろして絞った白い液体で、料理からデザートにまで幅広く使われる。濃厚でコクがあり、健康効果も期待できる食材。
ジャスミンライス
「プカ・マリス」などの品種が知られる、柔らかい食感と独特な芳香を持つジャスミンライス。雨季に収穫され、カンボジア産の香り米の中で最も人気の最高級品種。
調理後はややもちっとした食感とナッツのような風味があり、一部に好まれている米。レストランでは特別料理として提供されることもある。
「カンボジアジャスミンライス」(プレミアムフレグラントライス)と似た特徴を持つ乾季栽培の香り米。長粒で、柔らかな食感と芳しい香りが特徴。
雨季に収穫される米の一種。中粒で香りはなくロンググレインホワイト程ではないが、上質な白米。乾季のものは硬めの食感になる。
デザートとして果物と合わせたり、ちまきの材料となる、もちもちとした食感が特徴の米の一種。
グレインホワイト
中粒で香りはないものの上質な白米で、炊いた後には香り米に似た柔らかさと心地よい風味を持つ雨季に収穫される米。「プカ・チャンセンサー」などの品種が知られる。
小エビまたはオキアミと塩を発酵させて作られるペースト。独特な香りと強い旨味が特徴で、炒め物やディップなどに使われる。
「インドシナペッパー」とも呼ばれている伝統的なスパイス。世界一の味と評されることもあるカンボジア胡椒の中でも別格の味とされている。
八角、クローブ、ウコン、にんにく、ガランガル、レモングラスなど様々なスパイスを用いて作る香り高いペースト。カレー、炒め物、スープなどのベースとなる。
クメール語で「魚の水」を指す、伝統的な魚醤の一種。プロホックの製造過程で得られ、クメール料理には欠かせない。つけダレやスープなど様々な場面で使用される。
クメール料理に欠かせない、淡水魚と塩を混ぜて熟成・発酵させた魚のペースト。塩味が強く、旨味の凝縮されたディープな味わいが特徴。
ヒガンバナ科に分類される玉ねぎの一種。タマネギとニンニクを合わせたような味わいの香味野菜で、西洋やアジアなど広い地域で使用される。
ショウガ科の根茎で、東南アジアの料理でよく使用される。生姜よりもややスパイシーで香りが強く、独特の味わいがある。
甘くてスパイシーな香りが特徴のショウガ科の香辛料。香りが料理に深みを与えるため、カレーやお菓子、コーヒーに加えることが多い。
乾燥した花の蕾を使ったスパイスで、強い香りと辛みがある。カレーや煮込み料理、デザートに加えられ、消化を助け、抗菌作用があるとされている。
「カフィア・ライム」としても知られるコブミカンの香り高い葉っぱ。強いシトラスの香りが特徴で、カレーやスープ、炒め物に加えて風味を引き立てる。
セリ科のハーブで、葉や種子が香辛料や薬味として使われる。独特の香りが特徴で苦手な人は多く、日本では「香草」「パクチー」などとも呼ばれている。
「スパイスの王様」と呼ばれることもある、樹皮を乾燥させて作られるスパイス。甘く温かみのある香りが特徴で、世界最古のスパイスとも言われる。
根茎部分を使うスパイスで、香りが豊かでピリッとした辛味が特徴。料理だけでなく、飲み物やお菓子にも利用される。
「ウコン」とも呼ばれる黄色い色素を持つスパイス。カレーやスープ、マリネなどに使われ、その鮮やかな色が特徴。
熱帯地域を原産とする果実で、主に料理に辛味を加えるために使われる。辛味成分のカプサイシンが特徴で、食欲を刺激し代謝を促進する効果がある。
乾燥した種子を粉末にしたスパイスで、甘く温かみのある香りが特徴。消化促進や鎮静作用があるとされている。
強い香りと辛みを持つ香味野菜で、料理の風味付けに使われる。炒め物や煮込み料理など幅広く使われ、抗菌・抗ウイルス作用もあるとされる。
中国料理や台湾料理で広く使われる香辛料で、独特の甘い香りと風味が特徴。乾燥した星形の果実で、「スターアニス」とも呼ばれ、肉の臭み消しなどに使われる。
イネ科のハーブで、レモンに似た爽やかな香りが特徴。東南アジア料理でよく使われ、スープやカレー、ハーブティーに利用される。
【2025年4月最新版】日本国内のクメール料理レストラン一覧
日本にもクメール料理レストランは11軒あります。(2025年4月現在)
下のマップを保存して、是非クメール料理店の制覇を狙ってみてください!
関東
中部
関西
中国
四国
参考文献
書籍
・地球の歩き方編集室, 『世界のグルメ図鑑 116の国と地域の名物料理を食の雑学とともに解説-本場の味を日本で体験できるレストランガイド付き!』 ,学研プラス, 2021/7/26, p34-35
・KRORMA MEDIA, 『クロマーマガジンNo.3(2018年7月号)』 ,KRORMA MEDIA, 2019/1/2 , p13
WEB
・「食べる」, カンボジア王国観光省, https://cambodiatourism.or.jp/contents/food/, (参照 2025-04-11)
・「About The Cambodian Rice」, CambodianRiceFestival , http://crf.org.kh/CambodianRiceFestival/contents/?view=detail&id=3, (参照 2025-04-11)














