セムラ(Semla)とは、カルダモンで味付けした小麦粉のパンにクリームを詰めた、スウェーデンで親しまれているペイストリーです。
セムラの概要
名前の由来:小麦粉を使ったペイストリーであることから
「センメル」は中低地ドイツ語で最高品質の小麦粉
セムラは、スウェーデンの伝統的なデザートで、アーモンドペーストやクリームを使った甘いペイストリーです。カルダモンで風味付けされた小麦粉のパンをの上部を切り取って中をくり抜き、アーモンドペーストとホイップクリームを詰め、切り取った部分を蓋として乗せ粉砂糖を振りかけて作られます。
四旬節前の「シュローブ・チューズデイ」と呼ばれる期間に販売され、2~3月頃になると店頭に並び始める「季節を感じるパン」として多くの人に愛されています。ちなみに、セムラという名前以外にも四旬節にちなんだ名称として、「ファストラーグスブッレ」や「フェッティースダーグスブッレ」と呼ばれることもあります。
セムラの歴史

次にセムラの起源に迫ってみましょう。
セムラの起源は、16世紀に遡ります。当時からスウェーデン人は多くのキリスト教の祝日に参加しており、その中にはイースターまでの40日間断食をする四旬節も含まれていました。伝統では四旬節の3日前には、来たる断食を乗り切るための大規模な祝賀会と宴会が開かれていました。そこで登場したのが「セムラ」です。
当初「セムラ」という名前はパンそのものを指しており、中身は入っていませんでした。当時はパサつきを抑えてより美味しく食べられるように、バターの薄片かクリームを添えて、牛乳を注いだり浸したりして食べられていました。
そして、時が経つにつれ、断食の習慣や、「四旬節の季節のみにセムラを食べる」という厳格な決まりは徐々に薄れていきました。また、1850年頃にはアーモンドやカルダモンといった素材が手に入れやすくなったことで、セムラの材料として用いられるようになりました。
第二次世界大戦中には、食糧配給など戦争の影響を受け、アーモンドの代わりにジャガイモが使われるなど、多少の変遷はあったものの、セムラのレシピは昔から基本的に大きな変化はありません。戦争が終わった後には、ホイップクリームをのせたセムラが主流となり、今ではこれが伝統的なバージョンであると考えられるようになりました。
セムラの主な材料
セムラの主な材料は以下の通りです。
セムラのレシピ
以下はスウェーデンのサイトで紹介されていた、セムラのレシピです。
①ボウルにイースト25gを砕き入れます。37°まで温めた牛乳200mlを注ぎ、イーストが溶けるまでかき混ぜます。小麦粉240gを加え、混ぜて15分ほど放置します。
② 小麦粉180g、卵1個、塩小さじ1/2、挽いたカルダモン大さじ1、砂糖60gを加えます。バター100gを少しずつ混ぜ込み、フードプロセッサーで7~10分間滑らかになるまで混ぜます。
③生地を布をかぶせて約30分間発酵させます。その後生地を12等分しパンの形にしたら、ベーキングシートを敷いた天板の上で1時間半~2時間発酵させます。
④オーブンを210°に設定し、パンに溶き卵を塗ってオーブンの中段で8~10分焼きます。パンは冷ましておきます。
⑤各パンの蓋部分を切り取り、中の生地を少し取り出します。ボウルで生クリーム200ml、牛乳1/2カップ、すりおろしたアーモンドペースト75g、粗く刻んだアーモンド1/2カップを混ぜ合わせます。
⑥クリームを各パンに少しずつ乗せます。蓋を戻して粉砂糖適量をふりかけ、完成。
参照記事:Semlor
セムラのバリエーション
以下はスウェーデンのセムラのバリエーションです。
ウィーナー・セムラ(Wienersemlor)
サクサクのパイ生地で作られるセムラ。中身は通常のセムラと変わらず、アーモンドペースト、ホイップクリーム、バニラシュガーなどが詰められている。
ガーック・セムラ(Gahkku Semla)
2015年にストックホルムのパティシエが考案したセムラ。平らに伸ばして軽く焼いた生地にアーモンドペーストとホイップクリームを詰めたラップ状のもの。
カネールブッレ・セムラ(Kanelbullesemla)
シナモンロールを半分に切って作られるセムラ。中身は通常のセムラと変わらず、アーモンドペースト、ホイップクリーム、バニラシュガーなどが詰められている。
カールスバーダー・セムラ(Karlsbadersemlor)
卵入りのパン生地で作られるセムラ。中身は通常のセムラと変わらず、アーモンドペースト、ホイップクリーム、バニラシュガーなどが詰められている。
センメルタルタ(Semmeltårta)
ホールサイズのケーキ生地で作られるセムラ。中身は通常のセムラと変わらず、アーモンドペースト、ホイップクリーム、バニラシュガーなどが詰められている。
プリンセス・セムラ(Princess Semla)
人気のデザート「プリンセスケーキ」とセムラを組み合わせたもの。カルダモン風味のパンにアーモンドクリームとラズベリージャムを詰め、緑のマジパンで覆っている。
ヘートヴェッグ(Hetvägg)
現在のセムラが生まれる前から存在していた伝統的なデザート。温かい牛乳を深皿に入れ、その中にセムラを浸して食べる。
ムッフラ(Muffla)
マフィンとセムラを組み合わせたもの。マフィン型で作られるセムラで、アーモンドペースト、ホイップクリーム、バニラシュガーなどが詰められている。
ロングパンセムラ(Långpannesemla)
ちぎりパンで作られるセムラ。中身は通常のセムラと変わらず、アーモンドペースト、ホイップクリーム、バニラシュガーなどが詰められている。
以下は地域ごとのバリエーションです。
COMING SOON
セムラに似た他国の料理
ラスキアイスプッラ(Arjamolho)
アーモンドペーストの代わりにイチゴジャムやラズベリージャムが詰められることが多く、アーモンドペーストのセムラにはアーモンドが飾られる。
ヴァストラクッケル(Vastlakukkel)
カルダモン風味の小麦パンに、ホイップクリームのみ、もしくはラズベリーやイチゴのジャム、マジパンなどが詰められている。
ファステラーヴンスボッレ(Fastelavnsbolle)
カルダモン風味の小麦パンに、バニラ味のホイップクリームとラズベリージャムなどのジャムを挟んだペイストリー。
ファステラーヴンスボッレ(Fastelavnsbolle)
パイ生地で作られた生地に、バニラ味のホイップクリームと少量のジャムが詰められ、上にはアイシングやチョコレートがかけられているペイストリー。
バスデグスボッラ(Vatnsdeigsbolla)
シュー生地で作られた生地に、ホイップクリームと少量のジャムが詰められ、上にはチョコレートアイシングがかけられているペイストリー。
同名の別料理
セムラ(Semla)
フィンランド語では「セムラ」は丸パンを指している。この丸パンは「スマフランスカ」とも呼ばれ、バターを塗って食べることが多い。
セムラの豆知識
セムラで死んだ王様
セムラは昔から貴族にも庶民にも愛された料理でした。そしてセムラを愛しすぎて亡くなったと言われているのが、スウェーデン王の一人、アドルフ・フレドリクです。伝えられるところによると、王はある宴会でロブスター、キャビア、ザワークラウト、燻製ニシンなどをシャンパンとともに食べた後に、暖かい牛乳にひたしたセムラを14人前も食べました。そして消化不良を起こし、亡くなってしまったのでした。
セムラを試すなら
セムラは楽天・Amazonでは売られていません。
ただ、日本にあるスウェーデン料理屋さんでセムラを食べることが可能です!



