パスティッツィ(Pastizzi)とは、サクサクの生地にクリーミーな具材を詰めた、マルタで親しまれているフィンガーフードです。
パスティッツィの概要
名前の由来:シチリア語に影響を受けて生まれたマルタ語の複数形
「パスティッツ」はシチリア語でパイ
パスティッツィは、マルタの伝統的なおかず系ペイストリーで、オーブンで焼かれたパイ生地はサクサクとした食感が特徴です。従来は小麦粉とラードで生地が作られますが、近年ではバターやマーガリンも使用されています。中にはリコッタチーズまたはカレー風味のえんどう豆ペーストが詰められ、チーズ入りは中央で、えんどう豆入りは横に生地を折ることで、具材の識別がしやすくなっています。
マルタを代表する料理として知られており、マルタには「パスティッツェリア」と呼ばれるパスティッツィ屋さんが点在していて、中には24時間営業のお店も。老若男女問わず多くの国民に愛されており、マルタには欠かせない食べ物です。
パスティッツィの歴史

次にパスティッツィの起源に迫ってみましょう。
パスティッツィの正確な起源は明らかではありませんが、アラビア料理、シチリア料理、ギリシャ料理などの影響を受けて誕生したと考えられています。その起源は紀元前1200年から紀元後870年の間に遡る可能性があり、特に870年頃に北アフリカからイスラム教徒がマルタに到来したことが、このペイストリーの発展に大きく寄与したとされています。この時期、マルタでは料理の多様化が進み、薄いアラビア風の生地とイタリア風のフィリングが融合し、現在のパスティッツィの形へと発展したと考えられます。
文献上でパスティッツィが初めて言及されたのは16世紀で、ある画家がウサギの肉を詰めたパスティッツィを食べたことが記録に残っています。これは、禁じられた日に肉を食べたとして異端審問官に報告されたために記録されたものです。その後19世紀の転換期になって初めて、現在のパスティッツィに近い形状やサイズが文献に記述されるようになりました。
第二次世界大戦が近づくにつれパスティッツィに関する言及が増加し、特に英国植民地時代のバレッタでは公共広場に洗練されたカフェが次々と登場しました。この頃になると、パスティッツィはマルタ人だけの食べ物ではなく観光客にも親しまれるようになり、特にマルタ駐留の英国兵士たちの間で人気を博しました。
戦後にはパスティッツィを専門に扱う店が都市部に登場し、「パスティッツェリア」として知られる店舗がバレッタを中心に広がりました。1970年代には郊外や地方にも広がり、現在ではマルタのほぼすべての町でパスティッツィを提供する店を見つけることができます。
さらに、近年ではアメリカ、オセアニア、ヨーロッパなどにもパスティッツィ専門店が進出し、マルタを代表するペイストリーとして世界的に人気を集めています。
パスティッツィの主な材料
パスティッツィの主な材料は以下の通りです。
パスティッツィのレシピ
以下は海外のサイトで紹介されていた、パスティッツィのレシピです。
①オーブンを 220°Cに予熱します。小さなボウルにリコッタチーズ200gと卵1個を入れ、卵がよく混ざるまで混ぜて塩とコショウ少々で味付けします。
②一度に 1 枚ずつ作業し、残りのフィロ生地は湿ったティータオルで覆っておきます。作業台に 1 枚のフィロ生地を置き、たっぷりと溶かしバターを塗ります。その上にもう 1 枚の生地をそっと乗せ、バターを塗り、これを 6 枚すべて使用するまで繰り返します。一番上にはバターを塗りません。
③幅10cmの円形カッターを使用して準備した生地から10個の円形を切り抜きます。円生地の中央に大さじ 1 杯のリコッタペーストをスプーンで入れ、円生地を半分に折ってフィリングの上に重ね両端をつまみます。作業台の上で底を平らにしクッキングシートに並べ、全部で10個分作ります。
④形を整えたパスティッツィに残りの溶かしバターを塗り、オーブンに移して約 10 分間、濃い黄金色になり中身が膨らむまで焼きます。食べる前に 5 分間冷まして完成。
参照記事:Maltese Pastizzi Recipe with Ricotta Filling
パスティッツィのバリエーション
以下はマルタのパスティッツィのバリエーションです。
カレー豆のパスティッツィ(Pastizzi tal-piżelli)
リコッタと並ぶ定番具材の伝統的なパスティッツィ。乾燥えんどう豆「マローファットピース」などの豆を潰し、カレー粉などのスパイスを加えて混ぜ合わせたフィリングが使われる。
リコッタチーズのパスティッツィ(Pastizzi tal-ħaxu)
定番のパスティッツィ。リコッタチーズには卵液を混ぜ込むことが多く、ときにはナツメグなどのスパイスも用いられる。基本的にはシンプルに塩胡椒のみで味付けされている。
丸型パスティッツィ(Pastizzi tondi)
一般的なパスティッツィはダイヤモンド型をしているが、店によっては円形のパスティッツィが売られていることもある。フィロ生地ではなく、パイ生地で作られる。
チキンパスティッツィ(Pastizzi Tigieg)
カレー味の鶏肉が入ったパスティッツィで、近年人気を得ている。キノコやえんどう豆、じゃがいも、玉ねぎなどの野菜も一緒に入っていることが多い。
ヌテラパスティッツィ(Pastizzi Nutella)
ヘーゼルナッツスプレッドのヌテラを入れたパスティッツィ。パスティッツィは元々おかず系パイのため違和感があるのか、いまいち普及はしていないデザート系。
アンチョビパスティッツィ(Pastizzi tal-inċova)
魚派に嬉しいアンチョビが入ったパスティッツィ。えんどう豆のペーストにアンチョビが混ぜ込まれているものが包まれている。
パスティッツィに似た他国の料理
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パスティッツィの豆知識
「パスティッツィ」に要注意
マルタで欠かせない存在となったパスティッツィは、今や単なる食べ物の枠を超え、マルタ語のイディオムや俗語としても使われるようになっています。例えば、その丸みを帯びたダイヤモンド型の形状から、女性器を連想させる意味を持つようになりました。
そのため、「パスティッツィ」と誰かを呼ぶことは、相手を侮辱し、愚か者や品のない人とみなす表現とされています!また、親指と人差し指を合わせてパスティッツィの形を作るジェスチャーも、侮辱的な意味を持つため注意が必要です。
パスティッツィを試すなら
パスティッツィは楽天・Amazonで売られていないため、自分で作る必要があります。


